勇気と行動力:「オッド・トーマス死神と奇妙な救世主」

2020年10月12日

個人的にはB級のノリも好きで、能天気なアクションも大好物です。

今回はそういう感じがちょっとありつつも、味わい深い佳作だと思った作品です。

オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主

オッド・トーマスは霊能力の持ち主。霊に導かれて殺人犯を捜し出すなど、死者が見えると放ってはおけない。そんなある日、ダイナーでボダッハという悪霊を大量に見つける。ボダッハは流血の惨劇が近づいていることをときに現れる悪霊。オッドは町の危機を救うことができるのか…。

Amazon作品紹介より

 

ちょっと変わった明るい青春モノなのかな?と思って見はじめました。

冒頭から、ある少女(実は霊)の導きで殺人犯の元へと出向きますが、その後は全力で走って追いかけ、拳での物理戦で解決しています。

このエピソードだけで、

1、オッドは「霊能力を使って解決する」のではない。霊を見たりはできるけど、あとは普通の人と変わらないやり方しかできない。悪を懲らしめるのは主人公・オッドの勇気や行動力でしかない

2、オッドは死者に対して偽りのない同情と共感を抱いている。至高の存在(神)を強く信じている。

ということが、観ている側に強烈に印象付けられます。

このオッドの表情や話し方の説得力は、演じるアントンくんの表現力の素晴らしさだと思います。

 

ところで、オッドは霊のみならず、「ボダッハ」という惨劇好きな悪霊を見ることもできます。惨劇というのは文字通りの「惨劇」で、失われる命が多ければ多いほど数多く、どこからともなく集まってきます。これがプレデターみたいな感じで、なかなか気持ち悪い・・・。

そしてこの物語は、オッドが尋常じゃない数の「ボダッハ」がある男につきまとっているのを偶然見かけて、それを探ることから始まっていきます。

この過程がなかなか・・・ヒヤヒヤして、オッドは自分だったらできそうにないことばかりやってるなあ、と思いました。

他人の家の鍵を開けたり、車をキーなしで始動させたり、これまでまあまあ修羅場をくぐってそうな描写があり、普通の人よりは慣れてるんでしょうけど。。ただ、その行動の根底には、生きている人たちへの純粋な愛情や、知ったからにはなんとかしたいという使命感があるんだろうな、とわかります。

母親譲りの特殊な能力を隠しながら生きてきて、でも隠し通せるモノじゃないから、いつも周りから変わり者と噂され、遠巻きにされてきたオッド(この名前自体がodd:変な、という意味がある)。

普通はそれで歪な性格になってもおかしくないのに、オッドは自分の能力と自分自身を、不遇な死を遂げた人のため、遂げるかもしれない人々のために惜しみなく使います。

孤独や失意の中で、それでもオッドがこんなにもまっすぐ「善」であり続けられるのは、「運命の恋人」ストーミーと警察署長(ウィレム・デフォー!素晴らしかった)という理解者がいるからなんですよね。

特にストーミーは子供の頃に生涯を共にする、と占われてからずっとそばにいてくれて、彼の能力にも理解があり、なにより・・・すっごく可愛い子なんですよ!!! いや〜・・・ストーミーちゃんが可愛すぎて、この映画の魅力はかなりアップしてます。

オッドはストーミーに支えられながら例の男を探し、恐ろしい計画をなんとか阻止するために奔走するのですが・・・。

 

最初のイメージ通り、死者がドラマの重要な役を演じる今作ですが、いわゆるホラー的な印象はなく、一人暮らしの方が観ても、夜のトイレも全く平気な仕上がりだと思います。

ただ、虫が嫌いな人は要注意かも。虫っていうか、Gなんですけどね。耐えに耐えたんですけど、ワンシーンだけ、手で覆い隠してしまったところがありました。。。あれは無理。・・・つまり、食べながら観る映画ではないですね(●´◒`●;)

伏線の回収も見事で、とにかくオッドのキャラクターが魅力的なので、最後まで飽きずに観ることができました。認められなくても、人の命を守ることに夢中になれる彼の清らかさがとても好きなんです。

それだけに、ラストでは号泣してしまったのですが。。。

なんかこのシーン、冗長じゃない?と思ってしまっていたけど、あんな意味があったなんて。それならすこしも長くない、むしろ短すぎた。。。

このときのオッドの表情、言葉にできないほど素晴らしかったです。

個人的にはもう少し、冒頭の少女の霊のようなエピソードが観たかったかな〜と思いました。その部分のオッドの感じがとても気に入ってしまったので。でも、一編の映画にするには、無駄なシーンかもですね。連続ドラマとかだったら、ああいうエピソードが繋がっていって、大ボスに・・・みたいな流れで盛り上がりそうですけど。

また、原作には続きがあるので、もしかしたら続編も・・・と期待するところですが、アントンくんは不幸な事故で亡くなってしまったので、それはむずかしいかもしれません。こんなにもオッドを表現できる俳優さん・・・なかなか見つからないですよね。

素晴らしい演技に感謝して、ご冥福をお祈りしたいと思います。。

 

エンドロールになってからはじめて、クーンツの小説が原作だったと知りました。

「ウォッチャーズ」がすごく好きなんですけど、清潔感のある主人公でちょっとかなしい感じがするエンターテイメント、っていうところが共通しているかも。

ものすごーく賢いレトリバーが出てくる犬好きにはたまらないすごく面白い物語です。